長年使ってきたタブレットが故障したりバッテリー交換が必要になって、分解を考えたことはありませんか。
本記事はタブレットの分解を安全に進めるための手順と必要工具、注意点をわかりやすく解説します。
静電気対策やバッテリーの扱い、データ消去まで再組立のポイントも含めて、失敗を避ける実践的なコツを紹介します。
初めての方でも読みやすいステップ別の構成なので、まずは準備と安全確認からチェックしてください。
これからの手順を順に追えば安全に作業できます。
タブレットの分解手順

タブレット 分解を行う際の基本的な手順を順番に説明します。
事前データ保護
作業前に本体のデータを必ずバックアップしてください。
クラウド保存とPCへのコピーの両方が安全です。
外部ストレージやSIMカードがあれば取り外してください。
必要に応じて端末の暗号化やログアウトを行ってください。
静電気対策
静電気対策は部品を壊さないために重要です。
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作業前に金属製の水道管やケースなどに触れて静電気を放電してください。
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可能であればアース接続された静電気防止リストストラップを着用してください。
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カーペットの上を避けて作業し、静電防止マットを使うとさらに安心です。
バックパネル取り外し
まず電源を切り、SIMトレイやメモリカードを取り外してください。
プラスチックのオープニングツールや吸盤を使ってバックパネルの縁を持ち上げます。
接着剤が強い場合はドライヤーやヒートガンで温めてからゆっくり剥がしてください。
無理に力を入れるとパネルや内部ケーブルを割る可能性があります。
バッテリー取り外し
バッテリーを扱う際は火や金属と強く接触させないでください。
作業項目 |
注意点 |
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コネクタの取り外し |
先にバッテリーコネクタを確実に外してください。 |
接着剤の除去 |
スロットルで慎重に剥がし、無理に引っ張らないでください。 |
膨張したバッテリーや損傷が見られる場合は放電を避けて専門業者に相談してください。
基板取り外し
コネクタ類は上から下へ順に外していくと戻すときに分かりやすいです。
ネジは種類や長さが異なる場合が多いので位置ごとに分けて保管してください。
フレキシブルケーブルはロックを持ち上げてから引き抜く方法が一般的です。
ディスプレイ取り外し
ディスプレイはガラスとパネルが接着されているため割れやすいです。
ヒートガンやドライヤーで温めて接着剤を柔らかくしてから作業してください。
薄いプラスチックピックで少しずつ隙間を広げると安全に外せます。
外したらコネクタを慎重に取り外して保管してください。
再組立のポイント
再組立は分解の逆順で行うとスムーズです。
新しい粘着テープやシールを使って防水性を回復させてください。
ネジは規定の場所とトルクで締めることが重要です。
組み立てた後は通電前にコネクタの接続を再確認してから動作確認を行ってください。
タブレット分解の必要工具と部品

分解前に必要な工具と交換部品をそろえることで作業がスムーズになります。
無理をせず正しい道具を使うことが故障リスクを下げるポイントです。
精密ドライバー
タブレットでよく使われるネジは極小サイズのため精密ドライバーが必須です。
サイズ違いをそろえておくとネジ頭をなめにくく安心して作業できます。
ドライバー種類。 |
サイズ目安。 |
主な用途。 |
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プラス(PH)。 |
PH00〜PH000。 |
背面カバーの小ネジなどに使用します。 |
トルクス(T)。 |
T3〜T6程度。 |
内部基板や金具の固定に使われることがあります。 |
ヘックスやペンタローブ。 |
メーカーやモデルにより異なります。 |
特殊ネジ用の予備として用意しておくと安心です。 |
プラスチックへら
筐体の爪を傷めずにこじ開けるためにプラスチックへらが便利です。
金属工具は使わず薄く平たいへらで少しずつ浮かせるのがコツです。
へらを差し込んだまま力を入れすぎないように注意してください。
吸盤
ディスプレイを外す際にガラスを持ち上げるための吸盤が役立ちます。
吸着力が弱い場合は清掃して再使用するか新しい吸盤を用意してください。
吸盤だけで外れないときは加熱やへらと併用すると安全に作業できます。
ピンセット
小さなコネクタやネジを取り扱うときに細かい作業がしやすくなります。
先端が細いステンレス製のピンセットが使いやすいです。
静電気対策が必要なパーツを扱う場合はESD対応のピンセットを使ってください。
加熱ツール
接着剤で固定されたディスプレイやバックパネルは加熱して接着を柔らかくします。
ヒートガンや専用の加熱パッドが定番の道具です。
温度管理を怠るとパネルを変形させたり内部部品を損なう恐れがあるため注意してください。
目安としては低温から徐々に上げる方法が安全です。
交換用ネジ・粘着テープ
紛失やねじ山の破損に備えて予備のネジを用意しておくと安心です。
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予備ネジセットをサイズ別に揃えておくと便利です。
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両面粘着テープは液晶やバッテリー固定用に必須です。
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保護用の絶縁テープやスポンジもあると組み立て時に安心です。
適切な粘着強度のテープを選ぶことで再組み立て後の剥がれを防げます。
コンポーネントに合ったサイズのネジとテープを用意しておきましょう。
タブレット分解のリスク

タブレットを分解すると内部の繊細な部品に思わぬダメージを与える可能性があります。
安全面や保証、データ保護の観点からリスクを理解しておくことが大切です。
バッテリー発火
リチウムイオンバッテリーは取り扱いを誤ると発火や発煙に至る危険性があります。
膨張したバッテリーを無理に曲げたり刺したりすると内部短絡が起きやすくなります。
原因。 |
影響。 |
対策。 |
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物理的な損傷や穿刺。 |
短絡による発熱や発火のリスク増加。 |
バッテリーは専門技術のある業者に交換を依頼する。 |
過度の加熱や不適切な電源操作。 |
劣化促進と内部ガスの発生。 |
作業前に電源を完全に切り、安全な環境で作業する。 |
基板の損傷
基板上のチップや配線は非常に繊細で、わずかな力でも破損することがあります。
静電気により部品が壊れることも多く、特別な対策が必要です。
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静電気放電でICが壊れるリスクがあります。
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コネクタの無理な引き抜きで端子が折れることがあります。
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小さなネジやシールドを紛失して再組立てが困難になる場合があります。
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熱で部品が緩んだり、接着が剥がれることがあります。
防水性の喪失
防水仕様のタブレットはシールや接着剤で水の侵入を防いでいます。
分解するとこれらのシールが破損して元の防水性能を維持できなくなります。
結果として少量の水滴や湿気で故障するリスクが高まります。
保証の消失
多くのメーカーはユーザーによる分解を保証対象外としています。
分解痕があると有償修理しか受けられなくなる場合があります。
正規サービス以外での修理履歴が残ると将来の売却時に評価が下がることもあります。
データ漏洩
内部ストレージには個人情報やアプリデータが保存されています。
分解作業中に記憶媒体が露出するとデータが抜き取られるリスクがあります。
分解前にバックアップと完全消去の準備をしておくことが重要です。
タブレット分解の対策

タブレット 分解を行う前に安全対策をしっかり整えておくことが最も重要です。
少しの準備で故障リスクや事故を大幅に減らせます。
電源完全遮断
作業を始める前にタブレットの電源を完全に切ってください。
充電ケーブルや外部機器は必ず取り外してください。
内蔵バッテリーが取り外せる機種はバッテリーを外してから作業を行ってください。
電源が切れているように見えても残留電流がある場合があるため、数分間放置してから作業を始めると安心です。
バッテリー安全処理
リチウムイオンバッテリーは扱いを誤ると発火や破裂の危険があるため慎重に対応してください。
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バッテリーに膨張や損傷が見られる場合は無理に外さず専門業者に相談してください。
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バッテリーを外す際は金属製の工具で端子を短絡させないように注意してください。
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使用済みバッテリーは自治体の回収ルールや専門のリサイクル窓口に従って処分してください。
バッテリー交換を自分で行う場合は専用の分解工具と絶縁性のある作業環境を用意してください。
静電気防止具の使用
静電気は電子部品を一発で壊すことがあるため静電気対策は必須です。
機材 |
用途 |
備考 |
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アースリストバンド |
作業者の静電気を逃がすために手首に装着します。 |
金属アースに確実に接続してください。 |
ESD作業マット |
部品を置く作業面の静電気を抑制します。 |
導電性ケーブルでアースに接続する必要があります。 |
静電防止手袋 |
指先からの静電気放電を防ぎつつ作業性を保ちます。 |
素材により感触が異なるため使い分けが必要です。 |
これらの機具を組み合わせて使うと効果が高まります。
メーカー修理マニュアル
メーカーの修理マニュアルやサービス情報には安全に関する重要な注意点が記載されています。
分解手順や専用の工具リストが示されていることが多いため、必ず確認してください。
保証期間内の機器を独自に分解すると保証が無効になる可能性がある点にも注意してください。
専門業者への依頼
自信がない場合や高価な機種は無理をせず専門の修理業者に依頼するのが安全です。
業者を選ぶ際は修理実績や保証内容、見積もりの透明性を確認してください。
データ保護のため作業前にバックアップや重要データの取り扱い方法を確認しておくと安心です。
タブレット分解後のデータ消去方法

タブレットを分解した後でもデータが残っていることがあります。
内蔵ストレージを確実に扱うことが重要です。
ここでは分解後の実務的な消去手順をわかりやすくまとめます。
内蔵ストレージの特定
まず内蔵ストレージがどこにあるかを特定します。
多くのタブレットは基板上にeMMCやUFSというフラッシュメモリチップが実装されています。
チップに刻印された型番や基板上のシルク印刷を確認すると機種が分かることがあります。
サービスマニュアルやリペアガイドを参照すると位置と取り外し方が分かりやすいです。
取り外す前に必ず電源を切りバッテリーを取り外すか放電させてください。
ソフトウェア消去
分解前にソフトウェアで消去できる状態か確認してください。
工場出荷状態にリセットするだけで十分な場合と不十分な場合があります。
分解後でもストレージを基板に接続したまま消去できることがあります。
-
工場出荷状態にリセット(設定メニューから実行)。
-
Androidのfastbootやadbを使ったsecure wipeの実行。
-
Linuxでddコマンドを使い全領域を上書きする方法。
-
専用ツールでランダムデータやゼロで複数回上書きする方法。
上書き消去は論理データの回復リスクを下げますが、完全な物理破壊に比べると残留の可能性があります。
物理破壊
物理破壊は最も確実にデータを復元不能にする方法です。
特に機密性の高いデータがある場合は有効です。
方法 |
効果 |
注意点 |
---|---|---|
ハンマーで破砕 |
高い破壊効果がある |
破片の飛散と危険性に注意 |
ドリルで穴を開ける |
フラッシュチップを直接破壊できる |
金属粉や微粒子の処理に配慮 |
高温焼却 |
ほぼ完全に破壊可能 |
環境規制や発火の危険がある |
物理破壊を行う際は保護具を着用してください。
基板の破片や細かいチップが飛ぶので屋外か防護された場所で作業してください。
電子廃棄物は地域の規制に従って適切に処分してください。
暗号化の確認
タブレットのストレージが暗号化されているか確認してください。
暗号化されていればキーが無ければ復元は難しくなります。
Androidではファイルベース暗号化やフルディスク暗号化が利用されることがあります。
暗号化キーがTPMやセキュアエレメントに保管されている場合はキーの扱いも確認してください。
暗号化済みでもキーがデバイス内に残っているとリスクがあるので注意が必要です。
データ復旧対策
消去後に復旧の可能性を下げるために複数の対策を組み合わせてください。
まずソフトウェア上での上書き消去を行い、それでも不安な場合は物理破壊を追加します。
重要な処理を行った履歴がある場合はプロの記録証明や破壊証明を取得すると安心です。
組織で運用する場合は資産管理とチェーンオブカストディの記録を残してください。
最終処分はリサイクル業者や専門サービスに依頼して安全かつ法令順守で処理してください。
タブレット分解の機種別ポイント

機種ごとに内部構造や固定方法が大きく異なるため、分解手順と注意点も変わる。
ここでは代表的な機種別に押さえておきたいポイントをまとめる。
iPad
iPadは画面が強力な接着剤で固定されているモデルが多く、加熱して接着を緩める作業が基本になる。
ディスプレイを外す際にフレックスケーブルや指紋センサーがディスプレイ側に直結している機種があるため、無理に引っ張らないことが重要だ。
内部のネジやコネクタには専用の小型ドライバーやプラスチック製のこじ開け工具があると安全に作業できる。
バッテリーは薄く広い形状で、曲げや穿刺に弱いので静かに剥がすことを心がける。
静電気対策としてアースを取るか静電気防止手袋を使うと基板を守れる。
ホームボタンやFace ID周りは精密部品が多いので交換時は部品の互換性を確認する。
Surface
Surfaceは磁石やクリップで留められている部分と接着で固定されている部分が混在している。
ヒートガンやヒートパッドで温めつつ、ナイフ型ピックで丁寧に外す手順が向いている。
モデルの特徴。 |
画面の固定方法。 |
分解難易度。 |
---|---|---|
Surface Pro 系。 |
画面とフレームは接着とクリップの併用。 |
中〜高。 |
Surface Go 系。 |
比較的少ない接着とねじ固定。 |
中。 |
Surface Book 系。 |
ヒンジや特殊コネクタが多く分解注意。 |
高。 |
デジタイザやヒンジ周りのケーブルは切断しやすいので、位置をよく確認してから取り外すこと。
Galaxy Tab
Galaxy Tabはモデルにより背面から開けるタイプと画面側から開けるタイプがある。
一般的にバッテリーやスピーカーの位置は手順書で確認してから進めると安全だ。
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必要工具は小型ドライバー、吸盤、薄いプラスチックスパッジャー、ピンセット。
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加熱ツールは画面剥離に有効だが高温になりすぎないよう注意する。
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柔らかいプラスチック製のヘラでコネクタを外すと端子を傷めにくい。
防水シーリングがあるモデルは再組立時にシーリング剤を交換すると耐水性を回復できる場合がある。
Fireタブレット
Fireタブレットはクリップ留めやプラスチック爪で固定されていることが多く、比較的取り外しが容易な場合がある。
ただしプラスチック爪は脆いので力任せにこじ開けると割れてしまうことがある。
交換部品は安価で入手しやすい反面、互換性のばらつきがあるので型番を正確に確認する。
内部のケーブルは細くて短いことが多いため、作業中にコネクタを引っ張らないことが安全対策になる。
Huaweiタブレット
Huaweiタブレットは背面ガラスやフレームに接着を多用しているモデルが多い。
背面ガラスの交換は熱で接着を緩めた後に吸盤や薄いヘラで慎重に剥がす作業が必要だ。
カメラ周りや指紋センサーはモジュール化されていることが多いが、接続端子は小さいためピンセットでの取り扱いに注意する。
専用の分解手順や部品番号を確認してから作業を始めると余計なトラブルを防げる。
安全に作業を終えるための最終チェック

作業後は機器の電源が完全に切れていることを確認してください。
バッテリーやフレキケーブルなどのコネクタが確実に差し込まれているか目視で確認してください。
取り外したネジや小さな部品がすべて戻っているか点検してください。
内部にゴミやホコリが残っていないか、エアブローや柔らかいブラシで清掃してください。
ヒートシンクやCPUの熱伝導グリスを塗り直した場合は量と密着を確認してください。
組み立て後に一度起動して画面表示やタッチ操作、音声など基本動作をチェックしてください。
使用した工具は片付けて作業場所を整理し、落下物や導電物がないか確認してください。
静電気対策を再確認して、予期せぬ故障やショートを防いでください。
最後に外装のネジ締めやパネルのはまりを最終確認して作業を終了してください。